税制改正大綱の見直しが行われ、金融庁により「つみたてNISA(ニーサ)」という新しい制度が誕生します。
つみたてNISAという名前を聞いて、「あれ?現行のNISAと何が違うの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
つみたてNISAは投資対象が投資信託に限られ、非課税枠も現行NISAより少額ですが、20年も非課税の恩恵を受けられるのが特徴。
コツコツ少額から投資したい初心者には、つみたてNISAはかなりオススメな制度です。
この記事では、新しく始まるつみたてNISAはどんな制度なのか、また現行のNISAと何が違うのかを詳しく解説します。
つみたてNISAの開始はいつから?申込はすでに開始中!
つみたてNISAは2017年度税制改正により、現行NISAよりも利用しやすく、家計の安定的な資産形成を支援し、積立・分散投資を促進するために新しく創設される制度です。
既存のNISA※とつみたてNISAは名前は似ていますが、内容は違います。
少額投資非課税制度のことで、上限120万円までの投資なら通常20%課税される配当金や売却益が非課税になり、確定申告も不要。投資家に嬉しいメリットがたくさんあります。
現行NISAについて詳しい解説は「NISA(ニーサ)とは?メリットとデメリット」を参考にしてください。
新制度である「つみたてNISA」は、2018年1月からの運用開始を予定しています。
まだ運用は始まっていませんが、申込は2017年10月からすでに受付が始まっています。
つみたてNISAとは?制度の概要を紹介
2018年から新しく始まるつみたてNISAには、こんな特徴があります。
- 年間40万円まで積立投資が可能
- 20年間、配当や譲渡益が非課税に
- 対象商品は投資信託(とETF)
つみたてNISAは年間40万円まで、最長20年間保有でき、その間に得た配当金や譲渡益に税金がかかりません。
「20年も投資信託を保有するなんて長すぎる」と思う人もいるかもしれませんね。しかし資産形成をする上で長期投資は基本。
いままでのNISAは5年間しか保有できませんでしたが、実際のところ5年間で結果を出すのは難しいときもあります。
20年という長期投資は大きな強み。もちろんマイナス成長の年もあるでしょうが、伸びしろのある市場を対象とした投資信託を購入することで、トータルでは大きな利益が期待できるんです。
また積立投資することでドル・コスト平均法※も使え、投資のマイナスポイントである基準価額の変動リスクを回避することにもつながります。
毎月一定額を買付けることで、トータルの購入単価を平均化することができます。
基準価額が高いときには口数を少なく、低いときには口数を多く買い付けることができるので、その後基準価額が上昇したときにはより高いリターンを得られるメリットがあります。
投資に充てる資金が少ない人でも利用できるよう、少額から積立・分散投資に適した制度としてつみたてNISAが考え出されたんだ。
つみたてNISAにおすすめ!ネット証券2社を紹介
通常のNISAをあまり活用しなかった人も、投資信託でほったらかし運用ができる「つみたてNISA」はほったらかしでOKなので手間がかかりませんね。
つみたてNISAの口座受付は、すでに始まっています。
ここではつみたてNISA口座をどこで作ろうか考えている人に、おすすめのネット証券を紹介します。
NISAでナンバーワンといえばSBI証券!NISAからの移行もカンタン
NISA口座でナンバーワン口座開設数を誇るのはSBI証券です。
SBI証券は手数料やサービス、取引ツールが充実しているため使い勝手がよく、「どんな人にもマッチする」ネット証券だといえます。
このように従来のNISAでSBI証券を利用してきた人は、同じ証券会社なのでつみたてNISAへの移行もカンタンで手間いらず。このままSBI証券でつみたてNISA口座を作ることをおすすめします。
そのほかにも、SBI証券のつみたてNISA口座はメリットがいっぱいです。
- 豊富な投資信託から自由に組み合わせできる
- 最低100円から投資可能
- 毎日・毎週・毎月から自由にコースが選べる
- 「カートつみたて」で一目で資産状況をチェック
この中でも「カートつみたて」という機能が、SBI証券オリジナル。
カートつみたてでは、つみたてNISA投資可能枠の利用状況や資産状況が、グラフや表を多用し、一目でわかる仕様になっています。
つみたてNISA利用者目線を忘れない、サービス精神旺盛なSBI証券ならではの心配りですよね。
これまでSBI証券でNISAをやっていたという人も、これからSBI証券に口座を作ろうと考えている人も、ぜひSBI証券のつみたてNISA口座を検討してみてくださいね。
楽天証券はポイント利用が可能!楽天ユーザーには断然おすすめ
つみたてNISA口座をつくるのにおすすめのネット証券は、大手ネット証券のなかではSBI証券と双璧をなす、楽天証券です。
楽天証券のつみたてNISA対象投資信託の本数も、SBI証券とそれほど変わらず、豊富なバリエーションの商品から選択することができます。
楽天証券のつみたてNISAには、次のようなメリットがあります。
- 豊富な投資信託から自由に組み合わせできる
- 最低100円から投資可能
- 積立代金を楽天スーパーポイントで支払い可能
- 「まとめてつみたて」で手間なし資産運用
楽天証券は、積立代金を楽天スーパーポイントから支払うことが可能です。
筆者は楽天ユーザーなので、ここは一番心が惹かれる点なんです。もし楽天証券でお買い物をしせっかくポイントが貯まっても、それを買い物に使ってしまってはゼロになってしまいます。
また忙しい人には嬉しい「まとめてつみたて」※機能も、楽天証券ならでは。
通常積立投資をするさい、5つのファンドを購入すればそれぞれ5通りの積立設定を行う必要がありましたが、その設定を簡略化し、「金額」「引落先」「引落タイミング」をまとめて設定できる機能のことです。
このように楽天証券もつみたてNISA口座の開設をするのに、とても便利な機能が揃っているためおすすめの証券会社なんですよ。
「つみたてNISAは楽天証券がイイナ!でもまだ楽天証券の口座を持っていない・・・」という人は、まず楽天証券の口座開設をしましょう!
楽天証券の口座開設は、こちらからできます。
つみたてNISAと既存NISAの併用不可!2つのの違いを解説
新しい制度であるつみたてNISAは従来のNISAと違い、金融商品を長期で保有することができるところが大きな違いです。そのほかにどんな違いがあるか、具体的な特徴を表にしました。
つみたてNISA | 既存NISA | |
---|---|---|
対象年齢 | 20歳~ | 20歳~ |
非課税枠 | 年間40万円 | 年間120万円 |
最大合計投資額 | 800万円(20年間) | 600万円(5年間) |
対象商品 | 投資信託(ETF) | 上場株式、上場REIT、上場ETF、投資信託など |
非課税期間 | 20年 | 5年 |
非課税対象 | 分配金、譲渡益 | 配当、分配金、譲渡益 |
引き出し | いつでも引き出せる | いつでも引き出せる |
投資可能期間 | 2018年~2037年 | ~2023年 |
そのほかの特徴 | 定期・定額・積立投資に限定される | 上限額の範囲内なら単発の購入もでき、積立もできる |
上の表からわかるとおり、既存NISAでは株やREIT、ETFも購入することができましたが、つみたてNISAでは選択肢が投資信託しかありません。
そのかわり初心者にも選びやすいよう、対象投資信託は厳選されています。
またコストの負担が少ない、ノーロード(購入手数料無料の投資信託)のみが対象になっています。
投資対象が投資信託限定であることからもわかる通り、つみたてNISAは投資に深い知識がない人が資産運用を始めるきっかけになる制度だといえるでしょう。
「つみたてNISA対象の金融商品から選ぶ!おすすめ投資信託」ではつみたてNISAで購入できる投資信託のなかからおすすめのものを紹介しています。
併用は不可!つみたてNISAと既存NISAは選択制
既存NISAに加入して非課税枠いっぱいまで使っている人は「やった!つみたてNISAが新設されればもっと非課税投資枠が増える!」と考える人もいるかもしれません。
しかし残念ながら、つみたてNISAと従来のNISAの2つを、併用して使うことはできません。
つみたてNISAのデメリット!損益通算ができない
つみたてNISAのデメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 投資信託の種類が限定的
- NISAと併用できない
- 損益通算※できない
年間の利益と損失を差し引きし、課税対象になる金額を計算すること。株や投資信託ではトータルで得た利益にだけ課税されます。
つみたてNISAも既存NISAと同じで、口座自体が課税対象とされていません。
そのため例えば特定口座で利益が出てNISA口座で損失が発生しても、特定口座の利益と相殺し、特定口座の課税対象額から引くことができません。
自分の目標資産がどれくらいなのか決め「それに到達するまでは利益確定しない」「多少のマイナスでは損切りしない」など、まずは自分ルールを徹底しておくことだ。
つみたてNISAと併用するなら個人型確定拠出年金(iDeCo)を!
つみたてNISAと既存NISAは併用することはできませんが、併用するのにおすすめなのが個人型確定拠出年金(iDeCo)※です。
積立式の年金制度。個人型確定拠出年金で老後の資金を積み立てると、その掛金の分だけ毎年の課税所得から控除することができ高い節税効果が期待できます。
個人型拠出年金について詳しい解説は「【個人型確定拠出年金】iDeCo(イデコ)とは!メリットとデメリットを紹介」を参考にしてください。
しかし個人型確定拠出年金はあくまでも「老後の資金を貯める」ことが目的。そのため本人が60歳になるまでお金を受け取ることができません。
個人型確定拠出年金はそういった資金拘束を受けるデメリットがあるのですが、つみたてNISAを併用することでそのデメリット部分を補うことができます。
余剰資金の資産運用には、その金の最終的な使い道を考え、iDeCoかNISAかを選択することがおすすめだ。
投資初心者必見!つみたてNISAは2018年1月から始動
つみたてNISAが始まることで年間40万円まで積み立てることができ、20年に渡る長期的な非課税投資が可能になります。
投資対象は限定された投資信託の中から選びますが、資金はいつでも引き出し可能。自由度の高さが嬉しいメリットですね。
つみたてNISAの制度が資産運用の意識改革に一役買い投資をする人が増えれば、日本の企業を元気づけ、さらに景気を押し上げることにもつながります。
資産形成を始めるなら今でしょ!さあ、いまこそ資産形成の第一歩に踏み出してみませんか?