ジュニアNISA口座は2016年4月から始まった、子供のためのNISA(少額投資非課税制度)のことです。
ただしすでにジュニアNISAの口座開設は終了、2024年からは新規の購入はできなくなっています。
すでに口座を持っている場合は、非課税期間の5年を超えても18歳になるまで引き続き非課税で保有できるんですよ。
こちらではジュニアNISAとは普通のNISAとどこが違うのか、またジュニアNISAのメリットとデメリットについて解説します。
ジュニアNISAとは?ジュニアNISA(ニーサ)の仕組みについて
NISA※は20歳以上の成年対象に、2014年から開始されました。
少額投資非課税制度のこと。普通なら20%課税される配当金や売却益が非課税になり、確定申告が不要になるなど、投資家に嬉しいメリットが多くあるため人気が高く、制度が始まって以来たくさんのNISA口座が開設されています。
NISAについて詳しい解説は「NISA(ニーサ)とは?株初心者が知るべきメリットとデメリット」を参考にしてください。
ジュニアNISAとは、0歳~17歳を対象としたNISAのことです。
通常のNISAと比較して、他にもどんな違いがあるのか紹介します。
ジュニアNISAで子供1人あたり年間80万円分の非課税枠が増える
さらに5年間の非課税投資が可能なので、80万円×5年間で最大400万円までの非課税投資が可能です。
しかし子供が対象とはいえ、株式投資や投資信託などについて子供が自分で運用するのは難しく、実際に投資運用や口座管理するのは親権者(両親や祖父母)です。
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ジュニアNISAの特徴
- 0歳から19歳までの子供が対象
- 非課税枠は年間80万円まで
- 非課税期間は最長5年まで
- 口座の名義は子供だが運用は親権者
- 投資可能期間は2023年まで
- 1人1口座まで
「ジュニアNISA口座」と「課税ジュニアNISA口座」の違いとは
ジュニアNISAを始めると、「ジュニアNISA口座」と「課税ジュニアNISA口座」の2つの口座が開設されます。
この2つの口座はどんな違いがあるのでしょうか。
「ジュニアNISA口座」は通常の取引や運用を行う口座です。非課税対象となるのは、次の4つの取引で得た譲渡益や配当金、分配金です。
- 上場株式
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- 株式投資信託
子どもが18歳になるまでは課税ジュニアNISA口座で売却代金などを管理。口座外に払い出しはできません。非課税期間の5年が過ぎるとジュニアNISA口座の上場株式などは課税ジュニアNISA口座に移り、その後の売却益などに課税されます。
※課税ジュニアNISA口座で投資を行うことは可能です。(ただし非課税とはなりません)
「継続管理勘定」という非課税枠が作られます
ジュニアNISA口座にはいろいろと難解な用語が出てきます。「継続管理勘定※」という言葉もその一つ。
各年で買い付けた上場株式などの非課税期間(最長5年)が終了するタイミングでロールオーバー専用の非課税枠に移管することができます。このロールオーバー専用の非課税枠のことを「継続管理勘定」といいます。
継続管理勘定に移管すれば、1月1日において18歳である年の前年の12月31日まで非課税の恩恵を受けられます。しかし継続管理勘定では新規に株式などの買付けはできません。
ロールオーバーとは、5年間の非課税期間が終了したあと、次の年の非課税枠に保有している商品を移行することをいいます。ロールオーバーできるのは金額に上限がありません。
ジュニアNISA制度は2023年まで!その後も非課税保有可能
ジュニアNISA制度は2016年~2023年です。
2024年以降にジュニアNISA口座を持っている子どもが18歳になる場合、そのジュニアNISA口座が開設してある証券会社に、自動的に新NISAの口座が開設されます。
ただし、2024年から始まる新NISAの口座に、ジュニアNISA口座で保有している上場株式や投資信託などを移管(ロールオーバー)することはできないので注意が必要です。
18歳になるまでそのときにジュニアNISAで保有している資産は特定口座や一般口座への払い出しになりますので、非課税の期間に売却するのも一つの手ですね。
そういう場合は、継続管理勘定に移管することで、子どもが18歳になるまで非課税で保有できます。
子供の学資金を賢く増やそう!ジュニアNISAのメリットとは
子供名義で株や投資なんてやるメリットがあるのだろうか?と思っている人も多いと思います。なぜ今ジュニアNISAが注目されているのでしょうか。
活用しないのはもったいない!絶対お得なジュニアNISAのメリットについて説明します。
積立型学資保険だけでは将来が不安?ジュニアNISAで賢く増やそう
子供が成長する過程で最もお金がかかる年頃は、高校卒業から大学入学にかけてです。
大学の入学費だけでも100万円は必要です。授業料は国公立大学でも年間100万円弱、それに教科書代や文房具代が別途必要になります。そのうえ、自宅から離れた大学を選んだ場合は寮費や生活費がかかります。
子供の将来のために積立型学資保険を毎月支払っている人が多いのですが、これだけの高額な出費に対してこのような積立型学資保険の学資祝金だけでは、とても十分な備えだとは言えません。
払込期間:子供0歳から17歳まで、月額8,897円の保険会社F社の場合
学資祝金として18歳100万円、22歳(満期)100万円払い出し
払込期間:子供0歳から18歳まで、月額8,392円の保険会社S社の場合
学資祝金として18歳から21歳まで毎年40万円、22歳(満期)40万円払い出し
払込期間:子供0歳から12歳まで、月額6,230円の保険会社K社の場合
学資祝金として18歳から20歳まで毎年25万円、21歳(満期)25万円払い出し
このように、積立型学資保険だけではとても大学にかかる高額な費用をカバーすることができません。また、年々物価が上がり、今後はさらに学費が高騰する可能性もあります。
だからといって積立型学資保険には子供のケガや入院時に保障がついているなどメリットもあるので、保険に入らないのも心配ですね。
ジュニアNISAのメリットは投資運用することで元本を増やすことができますので、不足している積立型学資保険の祝い金を補う意味で、ジュニアNISAはとても有効な子供の将来への備えなのです。
子供が学費を心配することなく安心して学業に専念できるよう、子供の10年、20年先を見据えた未来への投資を考えましょう。
ジュニアNISAがお得な理由!株主優待で子供にも嬉しいプレゼント
株式投資をするうえで嬉しいメリットの一つに株主優待制度がありますね。株主優待の良し悪しで買う銘柄を決めている投資家もいるのではないでしょうか。
もちろんジュニアNISA口座を使って非課税投資を行っても、株主優待はついてきます。
子供のための学資金も貯められて、株主優待もゲットできるならお得ですね!
株主優待には遊園地の入場券や優待券、子供の喜ぶキャラクターグッズを用意している銘柄もあります。もちろん株主優待は配当金の「おまけ」でしかありませんが、楽しみの一つとして子供と一緒に選ぶことも面白いですね。
しかし、株主優待をもらうのがメインになっては本末転倒です。
ジュニアNISAは基本的に長期運用向きに作られた制度ですから、優待目当てに株を買い、保有日が過ぎれば売ってしまうというような投資はおすすめできません。
ジュニアNISAは年間80万円の投資枠が決まっていますから、株を売買するのも上限を念頭に入れ、お得な株主優待を上手に活用しましょう。
ジュニアNISAは社会勉強の場!経済感覚を育てよう
子供がまだ物心が付かないうちは親が代行する必要がありますが、子供が小学校高学年になれば少しずつ社会や経済の仕組みが理解できるようになってきます。
「株って何?」「株式市場って何?」という答えには少し難しい質問が、子供の口から飛び出すこともあります。
そこでジュニアNISAの出番。ジュニアNISAは子供本人の名義で資金を運用していますから、子供は身近なこととしてイメージを膨らますことができます。
自分の株式投資によって企業が運営され、その業績によって配当金が渡される。そのためお金が増える。市場経済の構造が理解できたら、子供の視野が広がり、もっと広い視野で政治やニュースに興味を持つことができるようになります。
幼い時から政治経済や景気の動向に敏感になり、経済感覚や投資運用のバランスを体感することはとても良い社会学習の一環ですね。
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ジュニアNISAはこんな人におすすめです
- 子供の学資金は学資保険だけでは不安だと思っている
- 将来子供が経済に強い大人に育って欲しいと思っている
- 学資金を増やし、さらに株主優待も貰えたらお得だと思っている
- 祖父母からの贈与があるが使い道に悩んでいる
- IPO株の応募枠を増やすため口座を確保したい
ジュニアNISAは投資!後悔しないために知っておきたいデメリット
ジュニアNISAのメリットばかりを紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。
ジュニアNISAは長期投資が基本です。長い目で見て利益が出る企業を選ぶことが重要です。
銘柄選びを慎重に行い、長期投資に適した経営が盤石な会社を選びましょう。
ジュニアNISAのデメリット!払い出し制限があること
ジュニアNISAのデメリットは、子供が18歳(学年でいうと高校3年生の12月末)になるまで、(災害等、特別な理由がある場合を除いて)払い出しができないことでした。
もし、子供が18歳未満で払い出しを行う場合、ジュニアNISA口座自体が廃止され、過去に遡って配当金や売却益で非課税だった金額に課税されたうえで払い出されます。通常の株取引と同じ位置づけになってしまうわけです。
ただし2024年以降は、この払出し制限が解除されました。
ジュニアNISAで保有している株式・投資信託等、金銭の全額について、年齢にかかわらず、また災害等やむを得ない事由によらない場合でも、非課税での払出しが可能です。
ただし、払い出しをする場合は、ジュニアNISAで保有している商品をすべて売却、もしくはすべて課税口座へ移管し、ジュニアNISAを閉鎖する必要があります。
資産の一部だけを払い出しすることはできないので注意しましょう。
ジュニアNISAは贈与税の対象!基礎控除額を確認しよう
1年の贈与額が基礎控除額110万円を超えると、贈与を受けた側(子供)が贈与税を納税する義務が生じますので気を付けてください。
「株式数比例配分方式」を選択しなければ非課税にならない!?
ジュニアNISA口座で買い付けた上場株式の配当金や、ETF、REITの分配金を非課税にするためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
上場株式の配当金や、ETF、REITの分配金を証券会社の取引口座で受け取る方式のことで、所定の手続きが必要になります。この方式を選択しなければ、非課税になりません。
しかし、ジュニアNISA口座以外の特定口座や一般口座で保有される全ての配当金についても、自動的に「株式数比例配分方式」で受け取ることになります。
複数の証券会社で株式を保有している場合も、いったん株式数比例配分方式を選択すると、自動的に全て株式数比例配分方式が適用されます。
ただしジュニアNISA口座で買い付けた投資信託の分配金には適用されません(上場株式の配当金と、ETF、REITの分配金のみ)。
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ジュニアNISAのデメリット
- 資産の一部払い出しは不可
- ジュニアNISA分を合わせ110万円以上贈与がある場合は贈与税の対象になる
- 株式数比例配分方式を選択しなければ非課税にならない
ジュニアNISAは口座開設受付終了!
ジュニアNISAの受付は2023年9月で終了しました。
2023年までにジュニアNISAで投資した資産については、18歳になるまでは非課税で保有が可能※ですが新規の投資はできません。
「代わりに、子ども名義の新NISA口座で投資したい!」という方もいるかもしれませんが、新NISAの口座は18歳にならないと開設できないのです。(口座開設する年の1月1日時点で18歳以上の人が開設できます)
ジュニアNISAで投資していた分を、保護者名義の新NISAで運用するのがおすすめですよ。
NISAにおすすめなのは楽天証券
これからNISA口座を開設したい、という人におすすめなのは楽天証券です。
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楽天証券について詳しくは、こちらの紹介ページを参考にしてください。
NISAについて詳しく知りたい方は、NISA(ニーサ)とは?株初心者が知るべきメリットとデメリットの特集記事をご覧ください。
子供の将来に賢い備え!ジュニアNISAを活用しよう
2024年からは新規積立はできませんが、すでに口座を持っている場合、18歳になるまでは非課税で運用できます。
どうしても不足しがちな子供のための将来の学資金。これを補う目的で作られたジュニアNISA制度ですが、うまく使えば資金を増やすだけでなく、子供の経済感覚や投資センスまで培うことができるかもしれない無限の可能性が秘められていますね!
ぜひ資産形成に役立ててください。